■平成10年度 卒業論文

▼卒業論文一覧

発表者名タイトルps.gzpdf
上田 浩 免疫系のダイナミクスにおけるNowak-Mayモデルの安定性について 25 KB 71 KB
田村 広志 並列数値シミュレーションの静的負荷分散法の検討 29 KB 57 KB
瀧川 正史 論理合成によるFPGA設計に関する検討 35 KB 53 KB

▼卒業論文アブストラクト

●上田 浩

Nowak,Mayらは,なぜHIV感染者が長い時間の後AIDS発症に至るかという問題 に対し``抗原多様性しきい値理論''を提唱し,それに対する力学系モデルを示 した.その研究は安定性としてのしきい値条件を提示している.本研究ではその 安定性がウイルスポピュレーション間の比の収束値に依存することを示した. さらに,その比の収束値により,免疫細胞数の収束値が計算できることも示した. また,不安定な場合が質的に異なった2つの場合に分かれることも示した.本研 究の結果はNowa-Mayの安定性条件と整合がとれており,さらにモデルの安定性 の様相をより詳しく提示するものである. n=3以上の場合についての解析は今 後の課題である.

●田村 広志

並列処理を用いて数値シミュレーションを高速化するために,多くの研究 や試作が行われてきた.プロセッサ台数に応じた性能向上を得るためには適切 な負荷分散が必須であるが,一般に静的負荷分散問題は計算困難であるため精 度保証の無い近似解法が採用されてきた.

市川らは,並列PDE求解システムNSLにおいて静的負荷分散問題を組み合わ せ最適化問題として定式化し,分枝限定法を用いて実用的に最適解を求める方 法を示した.この研究ではブロック数mとプロセッサ数nの間に m << n の関係 がある場合を扱っており,それ以外の場合は負荷が適切に分散できない.この 問題を解決するため仮想プロセッサを採用する方式も提案されたが,この方式 では性能が改善可能であることが示されただけで,具体的・実用的な解決法は 未解決のまま残っている.

本研究では静的負荷分散を一種の箱詰め問題としてモデル化し,分枝限定 法でこの最適化問題を実用的規模まで解くことが可能か検討する.

●瀧川 正史

市川研究室ではField Programmable Gate Array (FPGA)を用いて再構成論 理回路の研究を行ってきた.論理設計にはハードウェア記述言語VHDLと Synopsys社の論理合成システムDesign Compilerによる自動化設計を利用する が,FPGAには特有の構造があるため現状では論理合成で良い結果を得ることが 難しい.本研究の目的は,FPGA設計に論理合成を適用して得られる論理回路の 品質を評価し,さらに品質の良い回路を得る利用方法を調査することである.


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