■平成16年度 卒業論文

▼卒業論文一覧

発表者名タイトルpdf
秋中 昌訓 3x+1予想検証回路の改良と評価 96KB PDF
後野 遼一郎 AES暗号のためのデータ依存回路の設計と評価 96KB PDF
小沼 士郎 疑似乱数生成回路MT19937の設計と評価 56KB PDF

▼卒業論文アブストラクト

●秋中 昌訓

L.Collatzは,任意の自然数nに対し,以下の操作を繰り返すと必ず1になるという予想を立てた(3x+1予想).

  • nが偶数の時は2で割る.
  • nが奇数の時は3倍し,1を足す.

しかし3x+1予想は未解決である.そのためソフトウェアによる検証が行われており,2004年7月現在,n = 9×255まで予想の成立が確認されている.

本研究では,Field Programmable Gate Array (FPGA)を用いて,3x+1予想を高速で検証するための専用回路を設計・評価する. 先行研究 [市川・小林 2004] を基に,下位数bitの値に応じて複数ステップ分を計算するComposite Polynomialのbit幅を調節し,回路のパイプライン化を施すことで改良を試みる.

●後野 遼一郎

一般に,論理回路の入力(の一部)を固定することにより,回路規模を縮小し,動作速度を改善することができる. このようにして生成された回路は入力データに依存するため,“データ依存回路”と呼ばれる.

暗号処理をデータ依存回路で実装すると,攻撃に対する耐性が向上するなどの利点がある. 暗号鍵を固定したデータ依存回路では,鍵が回路に埋め込まれて最適化されるため,鍵のすりかえや盗用に対する耐性が高まる.

先行研究 [J. Leonard et al. 1997] [宮本 2003] ではDES暗号のデータ依存回路を実装・評価しているが,今日ではDESに代わる暗号標準としてAESが採用され始めている.

本研究の目的はAES暗号のデータ依存回路を実装し,回路規模と動作速度を定量的に評価することである.

●小沼 士郎

計算物理学など多くの分野では,シミュレーションに乱数が必要とされる. Mersenne Twister (MT)は,1997年に松本と西村によって開発された疑似乱数生成アルゴリズムである. MTは周期が極めて長く,動作が高速であり,高次元均等分布が証明されているなど,多くの長所を持つため,シミュレーション科学に適した疑似乱数生成法として注目されている.

シミュレーションを高速化するために専用ハードウェアが用いられる.専用ハードウェアでは疑似乱数生成も論理回路として実装しなければならない. 本研究では,MTの一種であるMT19937のハードウェアを設計・評価する.


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